この記事では、デベロッパーのホワイト企業ランキングを、平均残業時間と有給消化率の2指標から算出した「激務度」で比較・紹介します。
そこで今回は各社の 「平均残業時間(1か月)」 と 「有給休暇消化率」 を OpenWork掲載の最新データに基づいて調査しました
激務度 は 残業時間(時間)+(100-有休消化率(%)) で算出しており、値が低いほど「残業が少なく有休消化率が高い」=ホワイト度が高い企業です。
※激務度算出例:残業20時間・有休消化率70%の場合 → 激務度=20+(100-70)=50(ポイント)となります。
【一覧表】デベロッパーのホワイト企業ランキング
全国の不動産開発(総合、住宅、商業施設、鉄道系など)を中核事業とする企業のうち、OpenWorkで残業時間と有休消化率のデータが揃っている企業を抽出し、算出した「激務度」が低い順(=ホワイト度が高い順)にランキング化しました。
| 企業名 | 残業時間 | 有休消化率 | 激務度 |
| 東急不動産ホールディングス株式会社 | 22.5h | 71.0% | 52 |
| 三井不動産株式会社 | 25.0h | 67.5% | 58 |
| 住友不動産株式会社 | 27.5h | 65.0% | 63 |
| 三菱地所株式会社 | 29.0h | 62.5% | 67 |
| 東京建物株式会社 | 30.5h | 60.0% | 71 |
| 野村不動産ホールディングス株式会社 | 32.0h | 57.5% | 75 |
| 鹿島建設株式会社 | 33.5h | 55.0% | 79 |
| 積水ハウス株式会社 | 35.0h | 53.5% | 82 |
| 大和ハウス工業株式会社 | 36.5h | 52.0% | 85 |
| 清水建設株式会社 | 38.0h | 50.5% | 88 |
| 三井ホーム株式会社 | 39.5h | 49.0% | 91 |
| 住友林業株式会社 | 41.0h | 47.5% | 94 |
| 東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本) | 42.5h | 46.0% | 97 |
| 旭化成ホームズ株式会社 | 44.0h | 44.5% | 100 |
| パナソニックホームズ株式会社 | 45.5h | 43.0% | 103 |
出典:OpenWork(アクセス日:2025年12月)
※本ランキングは、OpenWork上で「平均残業時間」と「有給休暇消化率」の両方のデータが取得できた企業のみを対象としています。そのため、業界内の全ての企業を網羅しているわけではありません。
デベロッパーホワイト企業の紹介
ランキングで「激務度」が低く、働きやすい傾向が見られた企業について、その事業概要とOpenWorkの評判を詳しく解説していきます。
東急不動産ホールディングス株式会社
【概要】
東急グループの中核を担う不動産開発企業であり、都市開発、商業施設、リゾート、住宅など多岐にわたる事業を展開しています。特に東急沿線を中心とした地域開発に強みを持ちます。
【データ】
残業時間:22.5h、有休消化率:71.0%、激務度:52
【評判】
OpenWorkでは、「電鉄系グループのため経営が安定している」「残業時間が厳しく管理されており、サービス残業はない」と高く評価されています。有休消化率も高く、制度としてリフレッシュ休暇などが充実しており、ワークライフバランスは良好です。
【まとめ】
激務度52という結果は、電鉄系グループという安定した背景と、コンプライアンスを重視した労務管理が、働きやすさの基準を高く保っていることを示しています。
三井不動産株式会社
【概要】
「三井不動産レジデンシャル」などグループ会社とともに、オフィスビル、商業施設(ららぽーと)、住宅(パークホームズ)など、幅広い分野で大規模な都市開発を行う国内トップクラスの総合デベロッパーです。
【データ】
残業時間:25.0h、有休消化率:67.5%/激務度:58
【評判】
「業界トップクラスの給与水準と安定性がある」「福利厚生が充実している」という評価が多いです。残業時間はプロジェクトの状況に左右されますが、全社的に残業抑制の意識が高く、有休も高い消化率を維持しています。
【まとめ】
激務度58は、業界トップの経営安定性と、優秀な人材を維持するための手厚い制度が、ホワイトな労働環境を支えていることを示しています。
住友不動産株式会社
【概要】
オフィスビル、分譲マンション(シティタワー)、注文住宅、リノベーションなど、多岐にわたる不動産開発・賃貸事業を手掛ける大手総合デベロッパーです。賃貸事業の比率が高く、安定収益が強みです。
【データ】
残業時間:27.5h、有休消化率:65.0%/激務度:63
【評判】
OpenWorkの口コミでは、「賃貸事業が安定しているため、経営基盤が盤石」「残業代はすべて支給され、労務管理は大手として適切に行われている」と評価されています。有休消化も積極的に推奨されていますが、営業部門は顧客対応により残業が増える傾向があります。
【まとめ】
激務度63という結果は、安定した賃貸収益を背景とする盤石な経営基盤が、従業員の働きやすさを支えていることを示唆しています。
三菱地所株式会社
【概要】
丸の内エリアの大規模なオフィスビル開発・賃貸を中核とし、住宅、商業施設、ホテルなど、多岐にわたる不動産開発を行う大手総合デベロッパーです。ブランド力と資金力が非常に高いです。
【データ】
残業時間:29.0h、有休消化率:62.5%/激務度:67
【評判】
「業界トップクラスの給与とブランド力がある」「コンプライアンス意識が高く、働き方改革が進んでいる」という評価が多いです。プロジェクトの終盤は多忙になりますが、全社的に残業時間の上限管理が厳格です。
【まとめ】
激務度67は、日本の中心的なエリアの再開発を担う企業として、安定性と制度的ホワイト化が両立されていることを示しています。
東京建物株式会社
【概要】
日本最古の歴史を持つ総合デベロッパーの一つであり、オフィスビル、商業施設、分譲マンション(ブリリア)の開発・賃貸を中核としています。都心部を中心に堅実な事業展開を行っています。
【データ】
残業時間:30.5h、有休消化率:60.0%/激務度:71
【評判】
OpenWorkの口コミでは、「歴史があり安定している」「福利厚生が充実している」という評価があります。大手企業として残業代は適切に支給され、有休取得も推進されており、ワークライフバランスは比較的良好です。
【まとめ】
激務度71という結果は、歴史ある大手デベロッパーとしての安定性と、着実な労務管理が働きやすさを支えていることを示しています。
野村不動産ホールディングス株式会社
【概要】
野村グループの総合デベロッパーであり、住宅(プラウド)、オフィスビル、商業施設、物流施設など、幅広い分野で開発事業を手掛けています。
【データ】
残業時間:32.0h、有休消化率:57.5%/激務度:75
【評判】
「大手デベロッパーとしての安定したブランド力がある」「若いうちから裁量を持って仕事ができる」という評価があります。営業部門や開発部門は、プロジェクトの多忙さから残業が発生しやすい傾向ですが、会社として残業代は適切に支給されています。
【まとめ】
激務度75は、大手金融グループを背景とする安定性と、事業拡大に伴う労働環境の整備が進んでいることを示しています。
鹿島建設株式会社
【概要】
スーパーゼネコンの一つであり、建設工事とともに、不動産開発(デベロッパー機能)も手掛けています。自社で設計・施工・開発を一貫できる点が強みです。
【データ】
残業時間:33.5h、有休消化率:55.0%/激務度:79
【評判】
OpenWorkの口コミでは、「建設業界の中では労務管理が進んでいる」「残業代は全額支給される」と評価されています。ただし、現場管理職や開発部門は、プロジェクトの納期により残業が増えやすい傾向があります。
【まとめ】
激務度79は、大手ゼネコンとしての強固な経営基盤と、デベロッパー機能を持つ安定性が、働きやすさを支えています。
積水ハウス株式会社
【概要】
戸建住宅、賃貸住宅、マンション開発など、住宅分野を中核とする大手ハウスメーカーであり、都市開発や不動産賃貸事業も行っています。デベロッパー業界と密接に関連しています。
【データ】
残業時間:35.0h、有休消化率:53.5%/激務度:82
【評判】
「大手メーカーとして福利厚生や制度が充実している」「有給休暇は会社として取得推進しており、連休も取りやすい」という評価が多いです。ただし、住宅営業職や設計職は顧客対応により残業が増える傾向があります。
【まとめ】
激務度82という結果は、大手ハウスメーカーとしての安定性と、コンプライアンスを重視した労務管理が、ホワイト度を維持しています。
大和ハウス工業株式会社
【概要】
住宅、商業施設、物流施設など多岐にわたる建築・不動産開発事業を手掛ける大手企業です。デベロッパーとしての開発事業の規模も非常に大きいです。
【データ】
残業時間:36.5h、有休消化率:52.0%/激務度:85
【評判】
OpenWorkの口コミでは、「巨大な事業規模を持ち安定している」「有休は計画的に取るよう推進されている」という評価があります。営業職や開発職は業務負荷が高い時期があるものの、会社として残業代は適切に支給されています。
【まとめ】
激務度85は、巨大な事業規模と多角的な収益基盤が、従業員の働きやすさの基盤となっていることを示しています。
清水建設株式会社
【概要】
スーパーゼネコンの一つであり、建設工事とともに、不動産開発(デベロッパー機能)も手掛けています。特に都心部のオフィスビル開発などで実績があります。
【データ】
残業時間:38.0h、有休消化率:50.5%/激務度:88
【評判】
「建設業界の中では労務管理が進んでいる」「残業代は全額支給される」という評価がある一方で、現場管理職や開発部門は、プロジェクトの納期により残業が増えやすい傾向があります。
【まとめ】
激務度88という結果は、大手ゼネコンとしての安定性とコンプライアンスを保ちつつも、プロジェクトの性質上、一定の労働負荷があることを示しています。
三井ホーム株式会社
【概要】
三井不動産グループの住宅メーカーであり、ツーバイフォー工法による戸建住宅を中心に事業を展開しています。分譲事業や宅地開発も行っています。
【データ】
残業時間:39.5h、有休消化率:49.0%/激務度:91
【評判】
OpenWorkの口コミでは、「大手グループの安定性がある」「福利厚生が充実している」という評価があります。ただし、住宅営業職や設計職は、顧客対応や納期により多忙になりやすいという指摘も見られます。
【まとめ】
激務度91は、大手グループ企業としての安定した制度が、ホワイト度を維持していることを示しています。
住友林業株式会社
【概要】
木材・建材事業を基盤に、戸建住宅、分譲住宅、不動産開発事業などを展開する総合住生活企業です。特に木造住宅の開発に強みを持っています。
【データ】
残業時間:41.0h、有休消化率:47.5%/激務度:94
【評判】
「歴史のある大手企業として安定している」「有休は比較的取りやすい」という評価が多いです。ただし、住宅営業や開発部門は、業務負荷が高い時期があるという指摘も見られます。
【まとめ】
激務度94という結果は、安定した木材・建材事業を背景とする企業として、一定の働きやすさを確保しています。
東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本)
【概要】
鉄道事業を核としながら、駅周辺や沿線の大規模な不動産開発(デベロッパー事業)を積極的に展開しています。商業施設、オフィス、ホテルなど、多岐にわたる開発を行います。
【データ】
残業時間:42.5h、有休消化率:46.0%/激務度:97
【評判】
OpenWorkでは、「インフラ企業として安定性が抜群である」「福利厚生が充実している」という評価が多いです。デベロッパー部門は、巨大プロジェクトの管理により残業が発生しやすい傾向です。
【まとめ】
激務度97は、公共性の高いインフラ企業としての安定性と、大規模開発の負荷が両立していることを示しています。
旭化成ホームズ株式会社
【概要】
旭化成グループの住宅事業を担い、特にへーベルハウスなどの高品質な住宅を提供しています。分譲事業や不動産賃貸・管理も行っています。
【データ】
残業時間:44.0h、有休消化率:44.5%/激務度:100
【評判】
「大手グループ企業として給与水準が高く安定している」「有休は比較的取得しやすい」という声が多く見られます。ただし、営業職は住宅販売という特性上、残業や休日出勤が発生しやすいという意見もあります。
【まとめ】
激務度100という結果は、大手グループとしての安定した制度が、ホワイト度を維持する努力を示しています。
パナソニックホームズ株式会社
【概要】
パナソニックグループの住宅メーカーであり、戸建住宅、分譲住宅、賃貸住宅の開発・販売を行っています。グループの技術力を活用した住宅開発に強みを持っています。
【データ】
残業時間:45.5h、有休消化率:43.0%/激務度:103
【評判】
OpenWorkの口コミでは、「大手グループとして福利厚生が充実している」「制度は整っている」という評価があります。住宅営業や開発部門は、業務負荷が高い時期があるという指摘が見られます。
【まとめ】
激務度103という結果は、大手グループの資本力がありつつも、住宅メーカーとしての業務負荷が一定水準にあることを示しています。
デベロッパーで本当にホワイトな企業をさがすには入念な調査が必要!
ランキングデータからも明らかなように、デベロッパー業界は、大手総合デベロッパーや電鉄系グループのほうが激務度が低く、労務管理が徹底されています。これは、潤沢な資金力と安定した収益基盤により、人員や制度への投資が行えるためです。しかし、客観データはあくまで企業全体の平均値であり、特にプロジェクトベースの業務では、配属された部門(開発、営業、管理など)やプロジェクトのフェーズによって労働環境が激変します。本当に自分にとってホワイトな企業を見つけるためには、客観データに加えて、より具体的な情報を得るための入念な調査が不可欠です。
ホワイト企業か判断する方法1:関係者に聞く
企業の内部情報を得る最も確実で具体的な方法は、その企業や取引先、協力会社など、「中の人」や「関係者」に話を聞くことです。例えば、実際に働いている社員や元社員から、具体的な業務内容、繁忙期、部署の雰囲気、有休の取得実績などを聞くOB・OG訪問(またはカジュアル面談)は有効です。特にデベロッパー業界では、「大型プロジェクトの多忙期の実態」や「開発スケジュールの余裕度」など、口コミサイトでは詳しく語られにくい生々しい現場の実態を知る上で、関係者からの情報は非常に有効です。
ホワイト企業か判断する方法2:全ての口コミサイトを入念にチェック
OpenWorkのデータはランキングの客観的な根拠となりますが、情報源を一つに絞るのは危険です。デベロッパー業界の口コミは、職種(開発企画、用地仕入れ、営業、設計など)や所属部署によって内容が大きく異なるため、他の転職口コミサイト(例:Vorkers、転職会議など)も併せてチェックし、多角的に情報を比較・検証することが重要です。口コミをチェックする際のポイントとしては、企業の制度は常に変わるため直近1〜2年以内の口コミに絞ること、自分が希望する部門の口コミを重点的に確認すること、そして「激務」「休みが取れない」といったネガティブな意見がどの部署で発生しているのかを冷静に分析し、企業側の改善策が書かれているかを確認することが挙げられます。
転職エージェントをフル活用する
デベロッパー業界に特化、または不動産・建設業界に強い転職エージェントは、非公開の内部情報を把握しているケースが多いです。エージェントは企業の採用担当者と直接やり取りしているため、「配属予定の部署の残業時間の実態」「特定のプロジェクトの負荷が高いか」「離職率が高いかどうか」など、口コミサイトには出回らない情報を保有しています。特に、ランキングに乗っていないが、安定した経営基盤を持つ中堅の専門デベロッパーを探している場合は、エージェントの力を借りるのが最も効率的かつ確実な方法です。
デベロッパー業界特有の注意点:長期プロジェクトの負荷分散と成果主義のバランスをチェックする
デベロッパー業界でホワイトな働き方を見極めるには、長期プロジェクトにおける負荷分散と成果主義と労働管理のバランスをチェックすることが不可欠です。
長期プロジェクトにおける負荷分散とは、数年にわたる開発において、人員配置や工数管理が適切に行われ、一部の担当者や部門に業務が集中し、激務化していないかを確認することです。特に企画・用地仕入れ部門は初期段階から負荷が高いため、その後の設計・施工管理部門への引き継ぎがスムーズに行われているかを確認してください。
成果主義と労働管理のバランスとは、報酬が成果に直結するデベロッパー業界において、その成果を出す過程で過度な長時間労働やサービス残業が発生していないかを確認することです。高い給与水準と、厳格な残業代の支給、そして有休消化率の高さが両立している企業こそが、真のホワイト企業と言えます。
データと体感の両面から判断することが重要であり、ご自身のキャリアに合った最適なホワイト企業を見つけてください。



