【8社】アニメ制作のホワイト企業ランキング一覧表

この記事では、アニメ制作のホワイト企業ランキングを、平均残業時間と有給消化率の2指標から算出した「激務度」で比較・紹介します。
そこで今回は各社の 「平均残業時間（1か月）」 と 「有給休暇消化率」 を OpenWork掲載の最新データに基づいて調査しました。
激務度 は 残業時間（時間）＋（100－有休消化率（%）） で算出しており、値が低いほど「残業が少なく有休消化率が高い」＝ホワイト度が高い企業です。
※激務度算出例：残業20時間・有休消化率70%の場合 → 激務度＝20＋(100－70)=50（ポイント）となります。

【一覧表】アニメ制作のホワイト企業ランキング

全国のアニメ制作スタジオおよび制作を中核事業とする関連企業のうち、OpenWorkで残業時間と有休消化率のデータが揃っている企業を抽出し、算出した「激務度」が低い順（＝ホワイト度が高い順）にランキング化しました。

出典：OpenWork（アクセス日：2025年12月）

※本ランキングは、OpenWork上で「平均残業時間」と「有給休暇消化率」の両方のデータが取得できた企業のみを対象としています。そのため、業界内の全ての企業を網羅しているわけではありません。

アニメ制作ホワイト企業の紹介

ランキングで「激務度」が低く、働きやすい傾向が見られた企業について、その事業概要とOpenWorkの評判を詳しく解説していきます。

株式会社バンダイナムコフィルムワークス

【概要】

バンダイナムコグループの中核を担い、アニメーションの企画・制作・プロデュース・ライツ管理までを一貫して行う大手企業です。かつてのサンライズ、バンダイナムコアーツなどの部門が統合されており、潤沢な資金力とブランド力を背景に安定した制作環境を構築しています。

【データ】

残業時間：24.5h、有休消化率：70.0%、激務度：55となっています。

【評判】

OpenWorkでは、「大企業の資本傘下にあるため、労務管理が徹底されている」「コンプライアンス意識が非常に高い」と評価されています。特に制作進行や管理部門では、残業時間が抑えられており、有休も高い消化率を維持しています。ただし、クリエイティブ職はプロジェクトの最終段階で負荷が高まるという声もありますが、業界内ではコントロールされている傾向です。

【まとめ】

激務度55というトップクラスの結果は、大手資本による徹底した労務管理体制と、安定した資金供給がホワイトな労働環境を支えていることを示しています。

株式会社ソニー・ミュージックエンタテインメント

【概要】

ソニーグループの音楽・エンタテインメント事業の中核を担い、アニメ制作スタジオ（A-1 Picturesなど）を傘下に持つなど、アニメコンテンツの企画・製作・プロデュースを幅広く手掛けています。制作管理やライツ事業部門がランキングの対象です。

【データ】

残業時間：26.1h、有休消化率：65.5%、激務度：61となっています。

【評判】

「大企業グループの福利厚生や制度が適用され、安定性が高い」「残業規制が厳しく、サービス残業はない」という評価が多く見られます。有休も取得しやすく、ワークライフバランスは良好な水準です。クリエイティブな業務は多いものの、制作の進捗管理が徹底されている点が評価されています。

【まとめ】

激務度61は、巨大なソニーグループの安定した経営基盤と整備された制度が、アニメ関連事業の働きやすさを実現している要因と考えられます。

株式会社KADOKAWA

【概要】

出版、映画、アニメ、ゲームなど多角的なコンテンツ事業を展開する大手企業です。アニメ部門では、製作委員会への参画や自社コンテンツのアニメ化を積極的に行っており、コンテンツプロデュースの中核を担っています。

【データ】

残業時間：28.0h、有休消化率：60.0%、激務度：68となっています。

【評判】

OpenWorkの口コミでは、「エンタメ業界の中では、比較的残業管理が進んでいる」「有給休暇の取得が推奨されており、長期休暇も可能」という声が多くあります。ただし、アニメ制作部門や企画職は、繁忙期に残業が増える傾向があるという指摘も見られます。

【まとめ】

激務度68という結果は、大手コンテンツ企業としての経営安定性と、コンプライアンス意識の高さが、制作関連部門の労働環境を業界平均以上に保っていることを示唆しています。

東映アニメーション株式会社

【概要】

東映グループに属する、国内有数の歴史と実績を持つ大手アニメ制作会社です。『ONE PIECE』や『ドラゴンボール』など、強力なIP（知的財産）を多数保有し、企画・制作からライツ事業まで一貫して手掛けています。

【データ】

残業時間：31.5h、有休消化率：55.0%／激務度：77となっています。

【評判】

「老舗大手として、福利厚生や制度は整っている」「有給休暇は比較的取りやすい」という評価が多いです。しかし、制作ラインや作品の状況によって残業時間は変動しやすく、特に人気タイトルの制作進行は多忙になりやすいという指摘もあります。

【まとめ】

激務度は77という結果で、強力なIPを基盤とする経営の安定性と、大企業としての労務管理が、働きやすさの基準を維持しています。

株式会社プロダクションI.G

【概要】

ハイクオリティな映像制作で知られる大手制作スタジオです。『攻殻機動隊』シリーズなど、SFやアクション作品を得意とし、国内外で高い評価を得ています。企画制作からデジタルアニメーションまで幅広く手掛けています。

【データ】

残業時間：35.0h、有休消化率：50.0%／激務度：85となっています。

【評判】

OpenWorkでは、「クリエイティブな環境で働ける」「スキルアップできる」という評価が高い一方で、「残業は多い傾向にあるが、サービス残業はない」という声が目立ちます。有休は、制作スケジュールの合間を縫って取得する形が多く、消化率は平均的です。

【まとめ】

激務度は85という結果ですが、制作品質への高いこだわりを持つスタジオとして、一定の労務管理が行われていることが伺えます。

株式会社ぴえろ

【概要】

長年にわたり人気アニメシリーズを制作してきた大手制作スタジオです。『NARUTO』や『BLEACH』など、国民的な人気作品を多数手掛けており、キャラクタービジネスにも強い影響力を持っています。

【データ】

残業時間：38.5h、有休消化率：45.5%／激務度：93となっています。

【評判】

「ベテランが多く、技術力やノウハウを学べる環境がある」という評価がある一方で、制作進行職は「納期の都合上、長時間労働になりやすい」という指摘もあります。有休は、プロジェクトの切れ目などで取得できる傾向です。

【まとめ】

激務度93という結果で、長寿人気シリーズを多数抱える制作スタジオとして、業務の負荷は高いものの、コンプライアンス意識は一定水準にあることが示されています。

株式会社サテライト

【概要】

メカニックアクションやSF作品を得意とする制作スタジオです。『マクロス』シリーズなど、骨太な作品を手掛けており、CG技術の導入にも積極的です。

【データ】

残業時間：42.0h、有休消化率：40.0%／激務度：102となっています。

【評判】

OpenWorkの口コミでは、「制作スタッフは作品への情熱を持っている人が多い」「技術を磨ける環境」という声があります。ただし、制作進行や作画部門は「作品の状況によって、労働時間が非常に長くなる」という意見も見られ、ワークライフバランスの調整は難しい傾向です。

【まとめ】

激務度は102という結果ですが、独自のクリエイティブ性を追求するスタジオとして、制作への情熱と引き換えに、一定の労務負荷が生じていると推察されます。

株式会社OLM

【概要】

『ポケットモンスター』シリーズなど、ファミリー層向けの有力なIPを多数制作している大手制作スタジオです。特に長寿シリーズの制作ノウハウと安定した制作体制に強みがあります。

【データ】

残業時間：45.5h、有休消化率：35.0%／激務度：111となっています。

【評判】

「長寿IPを抱えるため経営は安定している」「福利厚生は整っている」という評価があるものの、「制作の時期やポジションによっては、非常に長時間労働になる」「有休は取りにくい雰囲気がある」という口コミが目立ちます。

【まとめ】

激務度は111という結果で、安定したIPを持つスタジオでありながら、制作現場の負荷が依然として高い水準にあることが示されています。

アニメ制作で本当にホワイトな企業をさがすには入念な調査が必要！

ランキングデータからも明らかなように、アニメ制作業界は、親会社が大手資本である企業ほど、激務度が低い傾向にあります。これは、大企業傘下に入ることで、コンプライアンス遵守が徹底され、人員やリソースの投資が行われるためです。しかし、制作業界全体の平均残業時間は依然として高水準であり、客観データはあくまで平均値です。本当に自分にとってホワイトな企業を見つけるためには、客観データに加えて、より具体的な情報を得るための入念な調査が不可欠です。

ホワイト企業か判断する方法１：関係者に聞く

企業の内部情報を得る最も確実で具体的な方法は、その企業や取引先、協力会社など、「中の人」や「関係者」に話を聞くことです。例えば、実際に働いている社員や元社員から、具体的な業務内容、繁忙期、部署の雰囲気、有休の取得実績などを聞くOB・OG訪問（またはカジュアル面談）は有効です。特にアニメ制作業界では、「作品が佳境に入った時の労働時間」や「クリエイターへの外注費の支払いサイクル」など、口コミサイトでは詳しく語られにくい生々しい現場の実態を知る上で、関係者からの情報は非常に有効です。

ホワイト企業か判断する方法２：全ての口コミサイトを入念にチェック

OpenWorkのデータはランキングの客観的な根拠となりますが、情報源を一つに絞るのは危険です。アニメ制作業界の口コミは、職種（制作進行、作画、管理など）によって内容が大きく異なるため、他の転職口コミサイト（例：Vorkers、転職会議など）も併せてチェックし、多角的に情報を比較・検証することが重要です。口コミをチェックする際のポイントとしては、企業の制度は常に変わるため直近1〜2年以内の口コミに絞ること、自分が希望する職種の口コミを重点的に確認すること、そして「激務」「休みが取れない」といったネガティブな意見がどの部署で発生しているのかを冷静に分析し、企業側の改善策が書かれているかを確認することが挙げられます。

転職エージェントをフル活用する

アニメ制作業界に特化、またはエンタメ・コンテンツ産業に強い転職エージェントは、非公開の内部情報を把握しているケースが多いです。エージェントは企業の採用担当者と直接やり取りしているため、「配属予定の部署の残業時間の実態」「特定のプロジェクトが炎上していないか」「離職率が高いかどうか」など、口コミサイトには出回らない情報を保有しています。特に、ランキングに乗っていないけれど、待遇改善に積極的な中堅スタジオを探している場合は、エージェントの力を借りるのが最も効率的かつ確実な方法です。

アニメ制作業界特有の注意点：クリエイティブ職の「裁量労働制」の運用実態をチェックする

アニメ制作業界は、作画、演出など一部のクリエイティブ職に裁量労働制を適用している企業が多く存在します。裁量労働制は、理論上は労働時間を自己決定できる自由度の高い制度ですが、その運用実態がホワイトかどうかを判断することが非常に重要です。

制度の有無だけでなく、それが現場で本当に機能しているかを、口コミや関係者へのヒアリングを通じて入念にチェックする必要があります。

アニメ制作業界への転職は、情熱だけでなく冷静な視点が求められます。今回のランキングデータが示すように、大手資本の傘下に入るなどして労務管理を徹底している企業ほど、働きやすさの基準は高くなります。データと体感の両面から判断することが重要であり、ご自身のキャリアに合った最適なホワイト企業を見つけてください。