この記事では、中部のホワイト企業ランキングを、平均残業時間と有給消化率の2指標から算出した「激務度」で比較・紹介します。
そこで今回は各社の 「平均残業時間(1か月)」 と 「有給休暇消化率」 を OpenWork掲載の最新データに基づいて調査しました。
激務度 は 残業時間(時間)+(100-有休消化率(%)) で算出しており、値が低いほど「残業が少なく有休消化率が高い」=ホワイト度が高い企業です
※激務度算出例:残業20時間・有休消化率70%の場合 → 激務度=20+(100-70)=50(ポイント)となります。
【一覧表】中部エリアホワイト企業ランキング
中部エリアを拠点とする有力企業の中から、残業時間と有休消化率のデータが揃っている3企業を激務度が低い(ホワイト度が高い)順に並べました。
| 企業名 | 残業時間 | 有休消化率 | 激務度 |
| ヤマハ | 15.6h | 88.5% | 27 |
| 豊田自動織機 | 18.5h | 90.2% | 28 |
| 中部電力 | 17.5h | 88.4% | 29 |
| アイシン | 19.2h | 89.5% | 30 |
| セイコーエプソン | 19.1h | 82.5% | 37 |
| ヤマハ発動機 | 18.2h | 81.1% | 37 |
| ブラザー工業 | 20.2h | 83.1% | 37 |
| ジェイテクト | 23.4h | 86.2% | 37 |
| 名古屋鉄道 | 21.0h | 83.5% | 38 |
| 豊田合成 | 24.3h | 86.1% | 38 |
| デンソー | 28.5h | 89.4% | 39 |
| トヨタ自動車 | 30.5h | 91.2% | 39 |
| 日本ガイシ | 22.4h | 82.3% | 40 |
| 静岡銀行 | 18.5h | 76.4% | 42 |
| 東邦ガス | 23.1h | 81.2% | 42 |
| 浜松ホトニクス | 22.5h | 78.5% | 44 |
| 日本特殊陶業 | 29.4h | 84.5% | 45 |
| YKK | 26.5h | 78.2% | 48 |
| 北陸電力 | 24.1h | 75.3% | 49 |
| イビデン | 30.2h | 81.1% | 49 |
| ノリタケカンパニーリミテド | 21.2h | 72.1% | 49 |
| 八十二銀行 | 25.4h | 75.2% | 50 |
| リンナイ | 22.1h | 71.5% | 51 |
| 第四北越銀行 | 23.5h | 72.1% | 51 |
| オークマ | 28.4h | 76.5% | 52 |
| 不二越 | 25.1h | 68.2% | 57 |
| 三協立山 | 26.2h | 64.5% | 62 |
| 興和 | 28.5h | 62.1% | 66 |
| 澁谷工業 | 32.4h | 65.4% | 67 |
| 亀田製菓 | 30.1h | 61.2% | 69 |
出典:OpenWork(アクセス日:2025年12月時点)
※本ランキングは、OpenWork上で「平均残業時間」と「有給休暇消化率」の両方のデータが取得できた企業のみを対象としています。そのため、業界内の全ての企業を網羅しているわけではありません。
中部のホワイト企業の紹介
ここからは、ランキングに掲載した企業を1社ずつ詳しく紹介していきます。各社の事業内容や特徴、そしてデータが示す働き方の実態について掘り下げていきましょう。
ヤマハ
【概要】静岡県浜松市に本社を置く、楽器・音響機器の世界最大手メーカー。
【データ】残業時間:15.6h、有休消化率:88.5%、激務度:27
【評判】「ライフ・ワーク・バランス」への意識が極めて高く、有休取得を奨励する文化が完全に定着しています。楽器好きの社員が多く、趣味と仕事を両立させる姿勢が全社的に尊重されています。
【まとめ】中部エリアで私生活の充実を最優先するなら、間違いなく筆頭候補となる優良企業です。
豊田自動織機
【概要】愛知県刈谷市に本社を置く、トヨタグループの源流企業。フォークリフトや自動織機で世界トップ。
【データ】残業時間:18.5h、有休消化率:90.2%、激務度:28
【評判】トヨタグループの中でも特に有休消化に厳しく、年間20日の消化が事実上の義務となっています。労務管理が非常に厳格で、サービス残業の概念が存在しません。
【まとめ】世界トップシェアの誇りと、鉄壁のホワイトな労働環境を両立させている稀有な企業です。
中部電力
【概要】名古屋市に本社を置く、中部地方のエネルギーインフラを一手に担う企業。
【データ】残業時間:17.5h、有休消化率:88.4%、激務度:29
【評判】インフラ企業ならではの安定感に加え、近年は男性の育休取得やフレックス制度が当たり前に運用されています。福利厚生の充実度は地域最高峰です。
【まとめ】安定性・待遇・休暇の三拍子が揃った、中部エリア屈指の「働きやすさ」を誇る職場です。
アイシン
【概要】トヨタグループ。トランスミッションなどの自動車部品で世界トップクラスのシェア。
【データ】残業時間:19.2h、有休消化率:89.5%、激務度:30
【評判】労働組合の力が非常に強く、有休取得や残業時間の管理が徹底されています。製造現場から事務職まで、休日をしっかり確保できる仕組みが整っています。
【まとめ】巨大組織でありながら社員一人ひとりの生活を守る仕組みが機能している、信頼の厚い企業です。
セイコーエプソン
【概要】長野県諏訪市に本社を置く、プリンターやプロジェクターの世界的メーカー。
【データ】残業時間:19.1h、有休消化率:82.5%、激務度:37
【評判】長野県の雄として、地域に根ざした穏やかな社風が特徴です。残業抑制への取り組みが積極的で、定時で上がる文化が根付いています。
【まとめ】高い技術力を誇りながら、信州の豊かな環境の中でゆとりを持って働けるメーカーです。
ヤマハ発動機
【概要】静岡県磐田市に本社を置く、二輪車やマリン製品の大手メーカー。
【データ】残業時間:18.2h、有休消化率:81.1%、激務度:37
【評判】「遊びを真面目に考える」社風があり、社員自身のプライベートを尊重する風土が強いです。有休の取得理由を問われることもなく、長期休暇も取りやすい環境です。
【まとめ】グローバルなビジネスを展開しつつ、個人の自由な時間を大切にできるバランスの取れた企業です。
ブラザー工業
【概要】名古屋市に本社を置く、プリンターやミシンなどを手掛ける名門メーカー。
【データ】残業時間:20.2h、有休消化率:83.1%、激務度:37
【評判】「アットホーム」という言葉がふさわしく、上下関係がフラットで風通しが良いのが特徴です。有休取得を評価に組み込むなど、休ませる仕組み作りが進んでいます。
【まとめ】名古屋市内で腰を据えて長く働きたい人にとって、理想的なホワイト環境が整っています。
ジェイテクト
【概要】トヨタグループの機械・部品メーカー。ステアリング等で世界トップシェア。
【データ】残業時間:23.4h、有休消化率:86.2%、激務度:37
【評判】合併を経てできた経緯から多様な文化を受け入れる度量があり、労務制度もトヨタグループ基準で整備されています。休暇は全社的に非常に取りやすいです。
【まとめ】技術追求と適正な労働時間の管理が両立した、安定感抜群のメーカーです。
名古屋鉄道
【概要】名古屋を中心に愛知・岐阜を地盤とする大手私鉄。
【データ】残業時間:21.0h、有休消化率:83.5%、激務度:38
【評判】インフラ企業として法令遵守の意識が極めて高いです。現業職から事務職までシフト管理がしっかりしており、サービス残業の心配はありません。
【まとめ】地域社会を支えるやりがいと、歴史ある大企業ならではの安心の労働環境が得られます。
豊田合成
【概要】トヨタグループ。ゴム・樹脂の高分子技術を核とした自動車部品メーカー。
【データ】残業時間:24.3h、有休消化率:86.1%、激務度:38
【評判】「穏やかな性格の人が多い」という声が目立ち、ギスギスした雰囲気は皆無です。トヨタカレンダーに基づいた大型連休もしっかり確保されています。
【まとめ】地道なモノづくりに没頭でき、かつ高い休日水準を維持できる安定企業です。
デンソー
【概要】愛知県刈谷市に本社を置く、世界最大級の自動車部品サプライヤー。
【データ】残業時間:28.5h、有休消化率:89.4%、激務度:39
【評判】ランキング内では残業がやや多い部類ですが、有休消化率は驚異的です。「稼ぎたいが休みも絶対欲しい」という志向の社員に非常に満足度が高い環境です。
【まとめ】圧倒的な高年収を維持しつつ、確実に休みを消化させる仕組みがある、中部を代表するパワーホワイト企業です。
トヨタ自動車
【概要】世界トップの自動車メーカー。中部エリア、ひいては日本経済の心臓部。
【データ】残業時間:30.5h、有休消化率:91.2%、激務度:39
【評判】仕事の密度は極めて高いですが、その分「3大連休」の長さや有休取得奨励日の多さは圧倒的です。福利厚生の規模も他を寄せ付けません。
【まとめ】激務な側面はあるものの、それに見合う報酬と休暇、そして世界最高のステータスが手に入ります。
中部エリアで本当にホワイトな企業をさがすには入念な調査が必要!
中部エリアは製造業の比率が高いため、独自の労働習慣が存在します。例えば、祝日が稼働日になる代わりに大型連休が長くなる「トヨタカレンダー」の採用有無や、工場勤務における「交替制」の実態などは、全社平均の数値だけでは判断できません。
また、同じ企業内でも「本社部門は定時退社だが、生産管理部門は多忙」といった部署間格差が生じやすいのが特徴です。ランキングの数値を鵜呑みにせず、自分が配属される可能性のある事業部がどのような状況にあるのかを、多角的な視点で調査することが不可欠です。
ホワイト企業か判断する方法1:関係者に聞く
もっとも確実なのは、実際にその企業で働いている、あるいは過去に働いていた「中の人」の話を聞くことです。
中部エリアは地元の繋がりが強く、共通の知人を辿れば主要企業の社員に出会えることも少なくありません。「有休は本当に自由に取れるのか?」「残業代は1分単位で付けられる空気か?」といった生々しい質問への回答こそが、あなたの入社後のギャップを最小限にしてくれます。
ホワイト企業か判断する方法2:全ての口コミサイトを入念にチェック
OpenWorkだけでなく、転職会議、Lighthouse、キャリコネといった複数の口コミサイトを必ず併用してください。
特定のサイトでは高評価でも、別のサイトでは特定のマネージャーや部署に対する不満が集中している場合があります。特に、ここ1〜2年の「最新の投稿」に絞ってチェックしましょう。働き方改革のスピードが速い中部の大手企業では、3年前の情報はすでに古くなっている可能性があるからです。
転職エージェントをフル活用する
中部エリアの製造業や地銀、インフラ企業に精通した転職エージェントは、各企業の「今」の内情を驚くほど把握しています。
「〇〇社は最近、労基署の指導が入ってから劇的に残業が減った」「逆に〇〇社のあのプロジェクトは今佳境で一時的に多忙らしい」といった、口コミサイトには載らないリアルタイムな情報を教えてくれます。エージェントを単なる求人紹介ツールではなく、「内部情報の裏付け調査」のために使い倒すのが、ホワイト企業への転職の極意です。
データと体感の両面から判断することが重要
中部エリアには、日本を代表する最高水準のホワイト企業が多数存在します。
今回ご紹介した「激務度」スコアは、あなたの企業選びを助ける強力な物差しになります。しかし、最終的な判断は「数字という客観情報」と、「現場の声という主観情報」の両輪で行うことが重要です。
あなたはどのような働き方を実現したいですか?まずは気になる企業の公式サイトや採用ページを覗いて、具体的な募集要項から「働き方の仕組み」をより詳しく調べてみることから始めてみましょう。



