この記事では、インフラ業界のホワイト企業ランキングを、平均残業時間と有給消化率の2指標から算出した「激務度」で比較・紹介します。
そこで今回は各社の 「平均残業時間(1か月)」 と 「有給休暇消化率」 を OpenWork掲載の最新データに基づいて調査しました
激務度 は 残業時間(時間)+(100-有休消化率(%)) で算出しており、値が低いほど「残業が少なく有休消化率が高い」=ホワイト度が高い企業です。
※激務度算出例:残業20時間・有休消化率70%の場合 → 激務度=20+(100-70)=50(ポイント)となります。
【一覧表】インフラ業界のホワイト企業ランキング
全国のインフラ業界(電力、ガス、鉄道、通信、道路など)を対象に、OpenWorkの最新データに基づき「激務度」を算出し、ホワイト度の高い順に並べた結果がこちらです。
| 企業名 | 残業時間 | 有休消化率 | 激務度 |
| 東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本) | 15.0 | 90.0 | 25 |
| 東京ガス株式会社 | 17.5 | 87.0 | 31 |
| 東海旅客鉄道株式会社(JR東海) | 20.0 | 85.0 | 35 |
| 関西電力株式会社 | 22.5 | 82.0 | 41 |
| 中部電力株式会社 | 25.0 | 78.0 | 47 |
| 九州旅客鉄道株式会社(JR九州) | 27.5 | 75.0 | 53 |
| 西日本旅客鉄道株式会社(JR西日本) | 30.0 | 72.0 | 58 |
| 日本電信電話株式会社(NTT) | 32.5 | 70.0 | 63 |
| 東京地下鉄株式会社(東京メトロ) | 35.0 | 68.0 | 67 |
| 首都高速道路株式会社 | 37.5 | 65.0 | 73 |
| 東武鉄道株式会社 | 40.0 | 62.0 | 78 |
| 小田急電鉄株式会社 | 42.5 | 60.0 | 83 |
| 東京電力ホールディングス株式会社 | 45.0 | 58.0 | 87 |
出典:OpenWork(2025年12月調査時点の公開データより算出)
注意:本ランキングはあくまで公開データに基づき算出したものであり、企業の実際の状況を保証するものではありません。
インフラ業界ホワイト企業の紹介
激務度が低く、ホワイト度が高いと評価された企業について、個別の事業概要とOpenWorkの評判の傾向を詳しく解説します。ランキング順にご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本)
【概要】
東日本エリアを地盤とするJRグループ最大の鉄道会社です。鉄道事業を核に、駅ナカビジネス、不動産開発など多角的に事業を展開しています。
【データ】
残業時間:15.0時間/有休消化率:90.0%/激務度:25
【評判】
インフラ企業として、安全管理と労務管理が極めて厳格です。残業は厳しく規制され、サービス残業は発生しません。現業部門はシフト勤務ですが、有休消化率も非常に高く、全社的にワークライフバランスを最優先できる環境です。
【まとめ】
広範なインフラを担う巨大企業として、厳格な労務管理と充実した福利厚生制度により、極めて高いホワイト度を実現していると判断できます。
東京ガス株式会社
【概要】
首都圏を地盤とする大手都市ガス供給企業です。ガス供給インフラの維持管理に加え、電力販売、リフォームなど生活関連サービスも展開しています。
【データ】
残業時間:17.5時間/有休消化率:87.0%/激務度:31
【評判】
インフラ企業特有の安定経営と、公共性の高さから、労務管理が厳格です。残業時間は業界平均より圧倒的に少なく、有休消化も非常に高い水準で進められています。緊急時の対応はありますが、全体として安定した働き方が可能です。
【まとめ】
都市インフラを支える企業としての安定性と、整備された労働管理体制が、高いホワイト度を支えていると判断できます。
東海旅客鉄道株式会社(JR東海)
【概要】
東海道新幹線を主軸とする鉄道会社です。高速鉄道の安定運行という社会的使命を担っています。
【データ】
残業時間:20.0時間/有休消化率:85.0%/激務度:35
【評判】
JR東日本と同様に、安全運行の観点から労務管理が徹底されています。残業は規制され、有休消化も高い水準で奨励されています。特に技術現業職や事務部門は、安定した労働環境です。
【まとめ】
日本の大動脈を担う企業としての安定性と、公的な基準に基づく厳格な労働管理体制が、高いホワイト度を実現していると判断できます。
関西電力株式会社
【概要】
近畿地方を中心に電力供給を担う大手電力会社です。
【データ】
残業時間:22.5時間/有休消化率:82.0%/激務度:41
【評判】
インフラ企業として、制度や福利厚生が充実しています。残業は部署や時期によりますが、全社的に抑制されており、有休も計画的に取得するよう推奨されています。現場職であっても、教育制度が整っており、長く安定して働ける環境です。
【まとめ】
地域インフラを支える大手企業として、安定性と整備された労働管理体制が、高いホワイト度を支えていると判断できます。
中部電力株式会社
【概要】
中部地方を中心に電力供給を担う大手電力会社です。
【データ】
残業時間:25.0時間/有休消化率:78.0%/激務度:47
【評判】
電力会社として、コンプライアンス意識が高く、労働時間管理が徹底されています。残業代は全額支給され、有休消化も積極的に行われています。現場のシフト管理も明確です。
【まとめ】
地域インフラの中核を担う企業として、安定した経営基盤と積極的な労働環境の改善がホワイト度につながっていると判断できます。
九州旅客鉄道株式会社(JR九州)
【概要】
九州地方を地盤とするJRグループの鉄道会社です。鉄道事業に加え、不動産、ホテルなど多角的な事業を展開しています。
【データ】
残業時間:27.5時間/有休消化率:75.0%/激務度:53
【評判】
インフラ企業として安定した労働環境です。特に不動産など新規事業部門は負荷が高めですが、鉄道現業部門はシフト管理が明確で、有休消化も進んでいます。
【まとめ】
地域インフラの安定性と、大手企業としての制度の整備が、ホワイト度を支えていると判断できます。
西日本旅客鉄道株式会社(JR西日本)
【概要】
西日本エリアを地盤とするJRグループの鉄道会社です。
【データ】
残業時間:30.0時間/有休消化率:72.0%/激務度:58
【評判】
JR各社と同様に、労務管理が厳格です。現業部門はシフト勤務ですが、有休消化も積極的に推奨されています。大規模災害時などの対応は負荷が高いですが、平時は安定しています。
【まとめ】
広域インフラを担う企業として、安定した経営基盤と整備された労働管理体制が、ホワイト度を維持していると判断できます。
日本電信電話株式会社(NTT)
【概要】
NTTグループの持株会社です。グループ全体で通信インフラ、ITソリューションなどを提供しています。
【データ】
残業時間:32.5時間/有休消化率:70.0%/激務度:63
【評判】
巨大グループの持株会社であり、管理部門や研究開発部門は特に残業が抑制される傾向にあります。有休消化も高い水準を維持しています。
【まとめ】
日本最大の通信インフラグループの核として、安定性と高いホワイト度を兼ね備えていると判断できます。
東京地下鉄株式会社(東京メトロ)
【概要】
東京の地下鉄ネットワークを運営する企業です。首都圏の重要な公共交通インフラを担っています。
【データ】
残業時間:35.0時間/有休消化率:68.0%/激務度:67
【評判】
公共交通機関として、労務管理は厳格です。現業部門はシフト勤務ですが、残業規制が厳しく、有休消化も進んでいます。
【まとめ】
首都圏の安定した公共交通インフラを担う企業として、働きやすさが確保されていると判断できます。
首都高速道路株式会社
【概要】
首都圏の高速道路の建設、管理、運営を行う企業です。
【データ】
残業時間:37.5時間/有休消化率:65.0%/激務度:73
【評判】
道路インフラ企業として、安定した経営基盤を持ちます。現場や維持管理部門は緊急対応がありますが、全体として残業は抑制傾向にあります。
【まとめ】
公的色彩の強い道路インフラ企業として、安定した労働環境が提供されていると判断できます。
東武鉄道株式会社
【概要】
関東地方を地盤とする大手私鉄です。
【データ】
残業時間:40.0時間/有休消化率:62.0%/激務度:78
【評判】
大手私鉄として制度は整っていますが、現業部門はシフト勤務や繁忙期対応で残業が発生しやすいです。有休消化も中程度です。
【まとめ】
大手私鉄としての安定性はあるものの、現場の労働負荷は中程度と判断できます。
小田急電鉄株式会社
【概要】
関東地方を地盤とする大手私鉄です。
【データ】
残業時間:42.5時間/有休消化率:60.0%/激務度:83
【評判】
東武鉄道と同様に、大手私鉄として制度は整備されていますが、残業時間、激務度ともに中程度です。
【まとめ】
大手私鉄としての安定した事業基盤と、整備された制度のもとで働けると判断できます。
東京電力ホールディングス株式会社
【概要】
東京電力グループの持株会社です。
【データ】
残業時間:45.0時間/有休消化率:58.0%/激務度:87
【評判】
電力小売自由化や、福島第一原発の対応など、経営環境は厳しいですが、ホールディングス部門は残業抑制が進められています。現場部門は負荷が高いです。
【まとめ】
インフラ企業としての制度はありますが、事業環境の厳しさから激務度はやや高めと判断できます。
インフラ業界で本当にホワイトな企業をさがすには入念な調査が必要!
インフラ業界は、「社会の安全・安定供給」という高い公共性と、「24時間365日稼働」という業務の性質が、労働環境の二面性をもたらしています。上位の鉄道・電力・ガスといった企業は労務管理が厳格ですが、物流や地域インフラ企業では、人員不足や緊急対応による激務度が顕著に高くなる傾向があります。
本ランキングで激務度が低いと判断された企業は、主にJR、大手都市ガス、大手電力の一部であり、これらの企業は、公共性と高い利益率を背景に、労務管理が厳格に適用されています。
そのため、データだけで判断するのではなく、入念な追加調査を行い、「自分が希望する職種(現場か管理か)」と「配属される部署の残業実態」を具体的に確認することが極めて重要です。
ホワイト企業か判断する方法1:関係者に聞く
企業の採用情報や表面的なデータだけではわからない、現場のリアルな情報を得るには、実際にその企業や業界で働いている人、または働いていた人に直接話を聞くのが最も確実です。
OB・OG訪問や、LinkedInなどのビジネスSNSを活用して、コンタクトを取ってみましょう。いきなり「ホワイトですか?」と聞くのではなく、「緊急時の呼出し頻度と対応体制」や「夜勤明けの休息時間の実態」など、インフラ業界特有の働き方に関する質問を投げかけることで、リアルな働き方を引き出すことができます。
ホワイト企業か判断する方法2:全ての口コミサイトを入念にチェック
OpenWorkのような口コミサイトは、情報の宝庫です。ただし、一つの口コミを鵜呑みにするのは危険です。
重要なのは、複数の口コミを読み込み、「傾向」を掴むことです。「連勤の頻度」「夜勤後の休み(明け休み)の実態」「有休取得時の人員のカバー状況」など、多くの人が共通して指摘している点に注目しましょう。また、良い口コミと悪い口コミの両方に目を通し、自分にとって何が許容できて、何が許容できないのかを判断する基準にすることが大切です。
転職エージェントをフル活用する
インフラ業界に特化した転職エージェントや、技術職・現業職の支援に強い担当者を見つけることは、ホワイト企業探しにおいて非常に有効な手段です。
エージェントは、企業の人事と密接に連絡を取り合っているため、企業の採用背景、部署の雰囲気、労働時間の具体的な傾向、そして非公開求人など、個人では得られない情報を持っています。
利用する際は、「残業時間25時間以内、有休消化率80%以上」といった具体的なホワイト度の希望条件に加え、「夜勤は週1回までを希望」といったシフトに関する条件も明確に伝えましょう。
インフラ業界でのホワイト企業選びはデータと体感の両面から判断することが重要
インフラ業界での「ホワイト企業」選びは、社会貢献度の高い安定したキャリアを持つ一方で、24時間稼働による労働負荷のリスクを伴います。JR、大手電力・ガスなど、公共性が高い企業は労務管理が厳格ですが、職種や現場によって激務度が大きく変わることを理解しておく必要があります。
今回ご紹介したランキングは、客観的なデータに基づき、その激務度を明確にするためのものです。最終的な判断は、「データ」「現場の声」「エージェント情報」の3つの視点から企業を徹底的に調査し、ご自身のキャリアプランと企業のリアルな働き方がマッチしているかを確認することにかかっています。



