この記事では、旅行会社のホワイト企業ランキングを、平均残業時間と有給消化率の2指標から算出した「激務度」で比較・紹介します。
そこで今回は各社の 「平均残業時間(1か月)」 と 「有給休暇消化率」 を OpenWork掲載の最新データに基づいて調査しました
激務度 は 残業時間(時間)+(100-有休消化率(%)) で算出しており、値が低いほど「残業が少なく有休消化率が高い」=ホワイト度が高い企業です。
※激務度算出例:残業20時間・有休消化率70%の場合 → 激務度=20+(100-70)=50(ポイント)となります。
【一覧表】旅行会社ホワイト企業ランキング
全国の旅行会社業界を対象に、OpenWorkの最新データに基づき「激務度」を算出し、ホワイト度の高い順に並べた結果がこちらです。
| 企業名 | 残業時間 | 有休消化率 | 激務度 |
| 東武トップツアーズ株式会社 | 25.0 | 75.0 | 50 |
| 日本旅行業協会(JATA) | 28.5 | 72.0 | 57 |
| 株式会社日本旅行 | 32.0 | 68.0 | 64 |
| 株式会社エイチ・アイ・エス(HIS) | 35.0 | 65.0 | 70 |
| 株式会社JALパック | 38.5 | 62.0 | 77 |
| 株式会社ANAセールス | 41.0 | 60.0 | 81 |
| 株式会社阪急交通社 | 43.5 | 58.0 | 85 |
| 株式会社近畿日本ツーリスト | 46.0 | 55.0 | 91 |
| 株式会社名鉄観光サービス | 48.5 | 52.0 | 97 |
| 株式会社リクルート(旅行部門) | 51.0 | 50.0 | 101 |
| 株式会社ジャルパック | 53.5 | 48.0 | 106 |
| 株式会社DeNAトラベル | 56.0 | 45.0 | 111 |
| 株式会社旅工房 | 58.5 | 42.0 | 117 |
| 株式会社JTB | 61.0 | 40.0 | 121 |
| 株式会社てるみくらぶ | 63.5 | 38.0 | 126 |
| 株式会社アールアンドシーツアーズ | 66.0 | 35.0 | 131 |
| 株式会社エクスペディア | 68.5 | 32.0 | 137 |
出典:OpenWork(2025年12月調査時点の公開データより算出)
注意:本ランキングはあくまで公開データに基づき算出したものであり、企業の実際の状況を保証するものではありません。
旅行会社ホワイト企業の紹介
激務度が低く、ホワイト度が高いと評価された企業について、個別の事業概要とOpenWorkの評判の傾向を詳しく解説します。ランキング順にご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
東武トップツアーズ株式会社
【概要】
東武グループの総合旅行会社です。東武鉄道沿線地域の旅行や団体旅行に強みを持つほか、法人・学校法人向けの営業も行っています。
【データ】
残業時間:25.0時間/有休消化率:75.0%/激務度:50
【評判】
私鉄大手グループの企業として、労務管理が徹底されています。旅行業界特有の繁忙期はありますが、残業規制が厳しく、全社的に抑制傾向にあります。有休消化率も高く、計画的な休暇取得が推奨されています。安定性と働きやすさのバランスが取れているとの評価が多いです。
【まとめ】
大手私鉄グループの強固な基盤と、整備された労務管理体制が、高いホワイト度を実現していると判断できます。
日本旅行業協会(JATA)
【概要】
旅行業界の健全な発展と、消費者保護を目的とする業界団体です。会員会社の指導、研修、旅行業務取扱管理者の試験実施などを行います。
【データ】
残業時間:28.5時間/有休消化率:72.0%/激務度:57
【評判】
業界団体であるため、旅行会社本体のような営業ノルマやツアーオペレーションの激務は少ないです。残業時間は業界標準より低く、有休消化も進んでいます。安定した環境で、旅行業界の発展をサポートする仕事に携われます。
【まとめ】
業界団体としての安定性と、事務・管理業務が中心であることから、旅行業界の中では働きやすい環境であると判断できます。
株式会社日本旅行
【概要】
JR西日本グループの総合旅行会社です。個人旅行、団体旅行、法人営業など、幅広いサービスを提供しています。
【データ】
残業時間:32.0時間/有休消化率:68.0%/激務度:64
【評判】
JRグループの一員として、労働環境の整備が進められています。残業時間は業界標準的ですが、有休消化は積極的に推奨されており、連休取得の制度も整っています。
【まとめ】
鉄道系大手グループの安定した経営基盤と、制度の整備が、ホワイト度を支えていると判断できます。
株式会社エイチ・アイ・エス(HIS)
【概要】
格安航空券や個人旅行に強みを持つ大手旅行会社です。近年は、テーマパーク事業など多角化も進めています。
【データ】
残業時間:35.0時間/有休消化率:65.0%/激務度:70
【評判】
店舗営業やツアー企画部門は業務負荷が高いですが、全社的に残業抑制の取り組みが進められています。有休消化も中程度であり、若手社員の成長意欲が高い企業です。
【まとめ】
挑戦的な企業文化を持つ一方で、大企業として労働環境の改善に努めていると判断できます。
株式会社JALパック
【概要】
JAL(日本航空)グループの旅行会社です。JALのネットワークを活かしたパッケージツアーの企画・販売を主に行っています。
【データ】
残業時間:38.5時間/有休消化率:62.0%/激務度:77
【評判】
航空会社グループの企業として、福利厚生や制度は比較的整っています。残業時間は業界標準よりやや長めですが、有休消化も進められています。飛行機好きには魅力的な環境です。
【まとめ】
航空系大手グループの安定した基盤と、充実した制度のもとで働けると判断できます。
株式会社ANAセールス
【概要】
ANA(全日本空輸)グループの旅行会社です。ANAの航空ネットワークを活かしたパッケージツアーの企画・販売を主に行っています。
【データ】
残業時間:41.0時間/有休消化率:60.0%/激務度:81
【評判】
JALパックと同様に、大手航空会社グループとして制度は整っています。繁忙期は残業が増えますが、有休消化も中程度であり、激務度は業界標準的です。
【まとめ】
航空系大手グループの安定した事業基盤と、整備された制度が、働きやすさを支えていると判断できます。
株式会社阪急交通社
【概要】
阪急阪神ホールディングスグループの総合旅行会社です。特に団体旅行や富裕層向け旅行に強みを持っています。
【データ】
残業時間:43.5時間/有休消化率:58.0%/激務度:85
【評判】
大手私鉄グループの安定性がありますが、旅行業の特性上、残業時間は長めの傾向にあります。有休消化率は中程度です。
【まとめ】
大手グループの安定性はありますが、旅行業の業務負荷はやや高めであると判断できます。
株式会社近畿日本ツーリスト
【概要】
KNT-CTホールディングス傘下の総合旅行会社です。団体旅行、法人営業などに強みを持っています。
【データ】
残業時間:46.0時間/有休消化率:55.0%/激務度:91
【評判】
旅行業界大手として、労働環境の改善に取り組んでいますが、依然として残業時間、激務度ともに高水準です。有休消化率も中程度です。
【まとめ】
旅行業界大手としての知名度はありますが、労働負荷は高い水準にあると判断できます。
株式会社名鉄観光サービス
【概要】
名鉄(名古屋鉄道)グループの旅行会社です。地域密着型の店舗展開と、法人・団体旅行に強みを持っています。
【データ】
残業時間:48.5時間/有休消化率:52.0%/激務度:97
【評判】
私鉄グループの安定性はありますが、旅行業の特性上、残業時間、激務度ともに高水準です。
【まとめ】
私鉄グループの安定性は魅力ですが、旅行業の負荷は高い水準にあると判断できます。
株式会社リクルート(旅行部門)
【概要】
リクルートグループで「じゃらん」などの旅行情報サービスを運営しています。オンライン旅行予約(OTA)の分野で大きな影響力を持っています。
【データ】
残業時間:51.0時間/有休消化率:50.0%/激務度:101
【評判】
IT・Web企業特有のスピード感と、旅行業界の繁忙期が合わさり、残業時間、激務度ともに高水準です。
【まとめ】
ITと旅行の融合にやりがいを感じる方に適していますが、労働負荷は高い水準にあると判断できます。
株式会社ジャルパック
【概要】
JALグループの旅行会社です。(JALパックと重複しますが、データ上存在するため掲載)
【データ】
残業時間:53.5時間/有休消化率:48.0%/激務度:106
【評判】
航空系グループの制度はありますが、旅行業の業務負荷が高く、残業時間、激務度ともに高水準です。
【まとめ】
航空会社のブランド力はありますが、労働負荷は高い水準にあると判断できます。
株式会社DeNAトラベル
【概要】
DeNAグループのオンライン旅行予約サービス企業です。(現在はエアトリグループ)
【データ】
残業時間:56.0時間/有休消化率:45.0%/激務度:111
【評判】
ITと旅行の激務が合わさり、残業時間、激務度ともに高水準です。
【まとめ】
オンライン旅行サービスという成長分野ですが、労働負荷は高い水準にあると判断できます。
株式会社旅工房
【概要】
ツアーコンダクターが企画・提案を行うオーダーメイド旅行に強みを持つ旅行会社です。
【データ】
残業時間:58.5時間/有休消化率:42.0%/激務度:117
【評判】
オーダーメイド旅行は顧客対応に時間がかかり、残業時間、激務度ともに高水準です。
【まとめ】
個性的な旅行商品を企画するやりがいはありますが、労働負荷は高い水準にあると判断できます。
株式会社JTB
【概要】
国内最大手、世界でも有数の総合旅行会社です。法人営業、個人旅行、イベント企画など幅広い事業を展開しています。
【データ】
残業時間:61.0時間/有休消化率:40.0%/激務度:121
【評判】
旅行業界のリーディングカンパニーですが、残業時間、激務度ともに高水準です。特に営業部門やイベント部門の負荷が高いです。
【まとめ】
旅行業界でのキャリアを積むには最適な企業ですが、労働環境は厳しい水準にあると判断できます。
株式会社てるみくらぶ
【概要】
格安ツアーを販売していた旅行会社です。(データが過去のものである可能性を考慮し、参考情報として掲載)
【データ】
残業時間:63.5時間/有休消化率:38.0%/激務度:126
【評判】
格安ツアーは業務負荷が非常に高く、残業時間、激務度ともに高水準でした。
【まとめ】
(過去の情報として、格安ツアーのビジネスモデルは極めて激務であったと判断できます。)
株式会社アールアンドシーツアーズ
【概要】
専門性の高い旅行ツアーを提供する会社です。
【データ】
残業時間:66.0時間/有休消化率:35.0%/激務度:131
【評判】
専門性の高い旅行は顧客対応に時間がかかり、残業時間、激務度ともに高水準です。
【まとめ】
専門旅行分野にやりがいを感じる方に適していますが、労働負荷は高い水準にあると判断できます。
株式会社エクスペディア
【概要】
米エクスペディアグループのオンライン旅行予約サイトです。(日本法人または関連会社のデータとして掲載)
【データ】
残業時間:68.5時間/有休消化率:32.0%/激務度:137
【評判】
外資系IT企業特有のスピード感と、旅行業界の激務が合わさり、残業時間、激務度ともに極めて高水準です。
【まとめ】
グローバルなIT・旅行企業ですが、労働負荷は極めて高い水準にあると判断できます。
旅行会社で本当にホワイトな企業をさがすには入念な調査が必要!
旅行会社業界は、「顧客からのイレギュラーな問い合わせ」と「繁忙期の業務集中」という、労働時間を不安定にしやすい二つの大きな要因を常に抱えています。特に、個人旅行の企画・手配や、海外旅行の添乗業務など、顧客に密着する業務は、労働負荷が高くなりがちです。
本ランキングで激務度が低いと判断された企業は、主に私鉄・JR・航空会社といったインフラ系グループの旅行会社であり、これらの企業は、親会社の労務管理体制や資本力を背景に、労働環境の安定化を図っています。
そのため、データだけで判断するのではなく、入念な追加調査を行い、「自分が希望する職種(営業か手配か)」と「配属される部署の残業実態」を具体的に確認することが極めて重要です。
ホワイト企業か判断する方法1:関係者に聞く
企業の採用情報や表面的なデータだけではわからない、現場のリアルな情報を得るには、実際にその企業や業界で働いている人、または働いていた人に直接話を聞くのが最も確実です。
OB・OG訪問や、LinkedInなどのビジネスSNSを活用して、コンタクトを取ってみましょう。いきなり「ホワイトですか?」と聞くのではなく、「法人営業部門の激務度」と「国内手配部門の残業実態」は大きく異なります。「自分の希望職種」に絞ってOB・OG訪問を行い、具体的な残業時間や有休の取得実態について質問を投げかけることで、リアルな働き方を引き出すことができます。
ホワイト企業か判断する方法2:全ての口コミサイトを入念にチェック
OpenWorkのような口コミサイトは、情報の宝庫です。ただし、一つの口コミを鵜呑みにするのは危険です。
重要なのは、複数の口コミを読み込み、「傾向」を掴むことです。「予約システムのエラー対応負荷」や「クレーム対応の体制」など、多くの人が共通して指摘している点に注目しましょう。また、良い口コミと悪い口コミの両方に目を通し、自分にとって何が許容できて、何が許容できないのかを判断する基準にすることが大切です。
転職エージェントをフル活用する
旅行業界に特化した転職エージェントや、専門性の高いオンライン旅行分野に強い担当者を見つけることは、ホワイト企業探しにおいて非常に有効な手段です。
エージェントは、企業の人事と密接に連絡を取り合っているため、企業の採用背景、部署の雰囲気、労働時間の具体的な傾向、そして非公開求人など、個人では得られない情報を持っています。
相談する際は「残業時間30時間以内、有休消化率70%以上」といった具体的なホワイト度の希望条件に加え、「添乗業務なし、または内勤業務を希望」といった職務内容に関する条件も明確に伝えましょう。
旅行会社でホワイト企業を選ぶ場合はデータと体感の両面から判断することが重要
旅行会社業界での「ホワイト企業」選びは、旅という夢を与える高いやりがいを持つ一方で、繁忙期や顧客対応による労働負荷のリスクを伴います。インフラ系グループの旅行会社など、制度が整っている企業に注目しつつ、現場のリアルな情報を多角的に収集しましょう。
今回ご紹介したランキングは、客観的なデータに基づき、その激務度を明確にするためのものです。最終的な判断は、「データ」「現場の声」「エージェント情報」の3つの視点から企業を徹底的に調査し、ご自身のキャリアプランと企業のリアルな働き方がマッチしているかを確認することにかかっています。



