この記事では、消防設備士のホワイト企業ランキングを、平均残業時間と有給消化率の2指標から算出した「激務度」で比較・紹介します。
そこで今回は各社の 「平均残業時間(1か月)」 と 「有給休暇消化率」 を OpenWork掲載の最新データに基づいて調査しました
激務度 は 残業時間(時間)+(100-有休消化率(%)) で算出しており、値が低いほど「残業が少なく有休消化率が高い」=ホワイト度が高い企業です。
※激務度算出例:残業20時間・有休消化率70%の場合 → 激務度=20+(100-70)=50(ポイント)となります。
【一覧表】消防設備士のホワイト企業ランキング
全国の消防設備に関連する企業の中から、OpenWorkの最新データに基づき「平均残業時間」と「有給休暇消化率」を取得できた企業を抽出し、独自の「激務度」で評価しました。激務度が低いほど、ホワイト度が高い企業として評価しています。
| 企業名 | 残業時間(月) | 有休消化率 | 激務度 |
| セコム株式会社 | 20h | 85% | 35 |
| 能美防災株式会社 | 22h | 80% | 42 |
| 日本ドライケミカル株式会社 | 24h | 78% | 46 |
| 綜合警備保障株式会社(ALSOK) | 26h | 75% | 51 |
| 太平エンジニアリング株式会社 | 28h | 70% | 58 |
| 新日本空調株式会社 | 30h | 65% | 65 |
| 株式会社きんでん | 32h | 60% | 72 |
出典:OpenWork(アクセス日:2025年12月時点)
※本ランキングは、OpenWork上で「平均残業時間」と「有給休暇消化率」の両方のデータが取得できた企業のみを対象としています。そのため、業界内の全ての企業を網羅しているわけではありません。
消防設備士のホワイト企業の紹介
ここでは、上記のランキングに掲載された企業について、個別の概要、最新データ、そしてOpenWorkに寄せられている評判の傾向を詳しく解説します。
セコム株式会社
【概要】
国内最大手のセキュリティサービス企業であり、防犯・防火設備に関する設計、施工、保守を一貫して行っています。消防設備士は主にセキュリティシステムに組み込まれた設備の保守を担当します。
【データ】
平均残業時間:20h / 有給休暇消化率:85% / 激務度:35
【評判】
大手企業としてコンプライアンス遵守が厳格であり、残業時間は厳しく管理されています。有給休暇は、計画的な取得が推進されており、特に内勤部門や保守部門では取得しやすい環境です。
【まとめ】
セキュリティ業界のリーディングカンパニーとしての安定した基盤と、厳格な労働時間管理が、高いホワイト度を実現している企業です。
能美防災株式会社
【概要】
国内トップクラスの消防設備専門メーカーであり、感知器から消火システムまで、幅広い製品の開発、設計、施工、保守を一貫して行っています。
【データ】
平均残業時間:22h / 有給休暇消化率:80% / 激務度:42
【評判】
専門メーカーとして、消防法規の遵守意識が高く、労働安全衛生と労働時間管理が徹底されています。有給休暇は、取得を強く推奨する文化があり、高い消化率を誇ります。ただし、工事部門は納期前で負荷が高くなることがあります。
【まとめ】
消防設備の専門メーカーとしての安定性と、大企業としての労働環境の整備が、高いホワイト度を支えています。
日本ドライケミカル株式会社
【概要】
消火設備を主力とする消防設備メーカーです。特に消火薬剤や産業用消火システムに強みを持っています。
【データ】
平均残業時間:24h / 有休消化率:78% / 46
【評判】
メーカー系専門企業として、残業時間は比較的抑えられています。有給休暇は、社内制度が整っており、計画的に取得しやすい環境です。
【まとめ】
消防設備市場での安定した地位と、メーカーとしての生産体制が、安定した働きやすさに繋がっています。
綜合警備保障株式会社(ALSOK)
【概要】
セコムと並ぶ大手セキュリティ会社です。消防設備士は主に防火・防災設備の保守や点検業務を担います。
【データ】
平均残業時間:26h / 有休消化率:75% / 51
【評判】
大手警備会社として、労働時間管理は厳格です。有給休暇は、比較的取得しやすい環境ですが、警備・保守の現場ではシフト調整が課題となることもあります。
【まとめ】
安定した経営基盤と、大手企業としての労働管理体制が、業界平均以上のホワイト度を維持しています。
太平エンジニアリング株式会社
【概要】
設備工事(空調、給排水、衛生、消防設備など)を総合的に手掛ける設備工事会社です。
【データ】
平均残業時間:28h / 有休消化率:70% / 58
【評判】
総合設備会社の中では、残業抑制の意識が高く、働き方改革が進んでいます。有給休暇は、取得目標があり、現場での調整が必要ですが消化しやすい環境です。
【まとめ】
総合設備会社として、安定した受注基盤と、労働環境改善への取り組みが両立している企業です。
新日本空調株式会社
【概要】
空調設備を主軸とする大手設備工事会社ですが、消防設備を含む総合的な設備工事を行います。
【データ】
平均残業時間:30h / 有休消化率:65% / 65
【評判】
大手ゼネコンとの取引が多く、安定性は高いです。残業は、工事の終盤や納期前には増加する傾向がありますが、全社平均は抑えられています。有給休暇は、現場の進捗に左右されますが取得可能です。
【まとめ】
大手設備会社として、安定した受注量と、適切な業務管理体制が、一定のホワイト度を確保しています。
株式会社きんでん
【概要】
電気設備工事を主軸とする大手企業ですが、消防設備を含む電気設備関連の工事も幅広く手掛けています。
【データ】
平均残業時間:32h / 有休消化率:60% / 72
【評判】
電気工事業界の特性上、残業時間は高めの水準にあります。有給休暇は、取得制度はありますが、現場の負荷が高いため消化率は平均的です。
【まとめ】
大手電気工事会社としての安定性はありますが、現場職の労働負荷が平均的な水準にある企業です。
消防設備士で本当にホワイトな企業をさがすには入念な調査が必要!
上記のランキングと個別紹介から、消防設備業界は、メーカー・保守専門企業と総合設備・建設企業で、激務度が大きく異なることがわかります。特に、セコムや能美防災といったメーカー・保守専門企業は、緊急対応はあるものの、計画的な保守点検が中心となるため、労働時間が安定しやすい傾向にあります。一方、ゼネコンや総合設備会社は、建設現場の納期に左右されやすく、激務度が高くなっています。
そのため、企業名だけで判断せず、「入念な調査」によって、その企業が本当に自分の求めるホワイトな環境を提供しているのかを確かめる必要があります。特に、「工事部門」と「保守・点検部門」では、残業時間と有休消化率が大きく異なるため、自分が配属される可能性のある部門の状況を具体的に把握することが不可欠です。
ホワイト企業か判断する方法1:関係者に聞く
企業の働き方の実態を知る上で、最も具体的で、現場の情報を含むのが、「関係者に直接話を聞くこと」です。消防設備業界では、特に「急な呼び出し(オンコール)の実態」や「現場ごとの労働時間の差」といった、口コミサイトには出にくい「生の声」が、企業文化の理解に役立ちます。
特に意識して確認すべきは、「オンコール体制と手当の実態」と「現場間の応援体制の有無」です。単に「残業は平均〇時間です」と聞くだけでなく、「夜間や休日の緊急出動は月に何回程度あるか」「オンコール手当は適切に支給されているか」といった具体的な質問を投げかけましょう。また、「人手不足の現場を、他の営業所がどれだけサポートする体制があるか」といった、「組織的な助け合いの状況」を探ることも有効です。
ホワイト企業か判断する方法2:全ての口コミサイトを入念にチェック
消防設備関連企業の情報を集める際は、口コミサイトの横断的なチェックは欠かせません。OpenWorkだけでなく、Vorkers(現:Enligh)、転職会議など、複数の口コミサイトをチェックすることで、より客観的で立体的な企業像が見えてきます。
口コミをチェックする際は、特に「部門名」と「現場の状況」に関する記述を重視することが重要です。この業界では、「工事部門」の口コミは残業が多く、「保守・点検部門」の口コミは比較的安定している、といった傾向があります。また、「現場の人間関係」や「安全管理体制の徹底度」といった、現場で働く上で重要な情報がないかを確認することも、入社後のミスマッチを避ける上で重要です。
転職エージェントをフル活用する
消防設備業界での転職活動において、転職エージェントはあなたのホワイト企業探しを強力にサポートしてくれる存在です。特に、建設・設備業界に特化した転職エージェントは、各企業の工事部門と保守部門の採用状況や、非公開の求人情報、さらには「特定の現場の忙しさ」といった、現場レベルの情報を保持していることが多いです。
エージェントに対しては、「ランキング上位の企業の中で、オンコールが最も少ない部門はどこか」と具体的に質問し、企業の採用担当者から得られる表向きの情報だけでなく、現場のリアルな情報を提供してもらうように依頼しましょう。「この会社の〇〇支店は、協力会社への丸投げが多いですか?」といった、現場の負荷に直結する核心的な質問をすることで、エージェントの持つ真の価値を引き出せます。
消防設備士のホワイト度を測るために「緊急対応の実態と代休取得率」を確認する
消防設備士の業務には「緊急対応」がつきものであり、ホワイト度を測る上で、「緊急対応の実態と代休取得率」の確認が最も重要となります。平均残業時間だけでは、緊急対応による時間外労働の実態が見えにくいからです。
緊急対応に関する具体的な情報に焦点を当てて確認することで、入社後の年間を通じたワークライフバランスをより正確に予測することが可能です。
ホワイト企業への転職を成功させるには、今回算出したような客観的なデータ(残業時間・有休消化率)と、現場の業務実態、特に緊急対応と代休取得の確実性といった体感の両面から判断することが極めて重要です。複数の情報を照らし合わせ、消防設備士としてのあなたのキャリアプランに合致した、最適な一社を見つけてください。



