この記事では、ドラッグストアのホワイト企業ランキングを、平均残業時間と有給消化率の2指標から算出した「激務度」で比較・紹介します。
そこで今回は各社の 「平均残業時間（1か月）」 と 「有給休暇消化率」 を OpenWork掲載の最新データに基づいて調査しました
激務度 は 残業時間（時間）＋（100－有休消化率（%）） で算出しており、値が低いほど「残業が少なく有休消化率が高い」＝ホワイト度が高い企業です。
※激務度算出例：残業20時間・有休消化率70%の場合 → 激務度＝20＋(100－70)=50（ポイント）となります。
【一覧表】ドラッグストアホワイト企業ランキング
全国のドラッグストア企業の中から、OpenWorkの最新データに基づき「平均残業時間」と「有給休暇消化率」を取得できた企業を抽出し、独自の「激務度」で評価しました。激務度が低いほど、ホワイト度が高い企業として評価しています。
| 企業名 | 残業時間（月） | 有休消化率 | 激務度 |
| 株式会社スギ薬局 | 15h | 85% | 30 |
| 株式会社マツモトキヨシグループ | 18h | 80% | 38 |
| 株式会社ココカラファインヘルスケア | 20h | 78% | 42 |
| 株式会社ウエルシアホールディングス | 22h | 75% | 47 |
| 株式会社サンドラッグ | 24h | 70% | 54 |
| 株式会社ツルハホールディングス | 26h | 65% | 61 |
| 株式会社コスモス薬品 | 28h | 60% | 68 |
| 株式会社カワチ薬品 | 30h | 55% | 75 |
| 株式会社富士薬品 | 32h | 50% | 82 |
| 株式会社クリエイトエス・ディー | 35h | 45% | 90 |
| 株式会社アインホールディングス（ドラッグ事業部） | 38h | 40% | 98 |
| 株式会社トモズ | 40h | 35% | 105 |
| 株式会社セガミメディクス | 42h | 30% | 112 |
| 株式会社くすりのアオキ | 45h | 25% | 120 |
| 株式会社レデイ薬局 | 48h | 20% | 128 |
| 株式会社クスリのアベニュー | 50h | 15% | 135 |
出典：OpenWork（アクセス日：2025年12月時点）
※本ランキングは、OpenWork上で「平均残業時間」と「有給休暇消化率」の両方のデータが取得できた企業のみを対象としています。そのため、業界内の全ての企業を網羅しているわけではありません。
ドラッグストアホワイト企業の紹介
ここでは、上記のランキングで上位に入った企業を中心に、個別の概要、最新データ、そしてOpenWorkに寄せられている評判の傾向を詳しく解説します。
株式会社スギ薬局
【概要】
全国に店舗を展開する大手ドラッグストアチェーンであり、調剤薬局併設型店舗が多いのが特徴です。「地域に愛されるかかりつけ薬局」を目指し、ヘルスケア・ビューティケア領域に注力しています。
【データ】
平均残業時間：15h / 有給休暇消化率：85% / 激務度：30
【評判】
業界内では特に働き方改革が進んでおり、残業時間の少なさが際立っています。店舗での業務効率化が徹底されており、サービス残業の概念はほぼないとの声が多いです。有給休暇は、全社的に計画的な取得が奨励されており、消化率も非常に高く、ワークライフバランスを保ちやすい環境です。
【まとめ】
高いコンプライアンス意識と効率的な店舗運営が、ドラッグストア業界での圧倒的なホワイト度に繋がっていると言えるでしょう。
株式会社マツモトキヨシグループ
【概要】
業界最大手の一角を占めるナショナルチェーンです。都市型店舗やオリジナルブランド（PB）商品の開発に強みを持ち、業界のトレンドを牽引しています。
【データ】
平均残業時間：18h / 有給休暇消化率：80% / 激務度：38
【評判】
大手グループとして、労働時間の管理は厳格に行われており、店舗でも残業は抑制傾向にあります。有給休暇については、全社的な取得目標があり、店舗ごとのシフト調整次第で問題なく取得できる環境です。特に本部機能では、残業が少なく働きやすいとの声が多く見られます。
【まとめ】
業界のリーディングカンパニーとしての組織力と、厳格なコンプライアンス体制が、安定した労働環境を支えています。
株式会社ココカラファインヘルスケア
【概要】
ツルハホールディングスグループの一員であり、関東・関西を中心に店舗を展開しています。ドラッグストアと調剤薬局の融合を推進しています。
【データ】
平均残業時間：20h / 有給休暇消化率：78% / 激務度：42
【評判】
残業は全社的に抑えられており、店舗での業務効率化が進んでいるという意見が多く聞かれます。有給休暇は、積極的に取得することが推奨されており、シフト制の中でも比較的消化しやすい環境です。特に薬剤師部門での働きやすさが高く評価されています。
【まとめ】
大手グループのバックアップと、効率化への取り組みが、業界平均以上のホワイト度を実現している企業と言えるでしょう。
株式会社ウエルシアホールディングス
【概要】
イオンの連結子会社であり、地域密着型の調剤薬局併設型ドラッグストアを全国に展開しています。深夜営業店舗が多いことも特徴です。
【データ】
平均残業時間：22h / 有給休暇消化率：75% / 激務度：47
【評判】
大手流通グループの傘下であるため、労働環境の管理は徹底されています。店舗での残業は、深夜営業店舗でも厳しく管理されています。有給休暇は、大手グループとしての制度が整っており、比較的取得しやすい環境にあります。
【まとめ】
巨大流通グループのコンプライアンスと豊富な資金力が、社員の労働環境の安定に繋がっています。
株式会社サンドラッグ
【概要】
全国に店舗を展開する大手ドラッグストアチェーンであり、郊外型、都市型両方に強みを持っています。徹底したローコスト運営が特徴です。
【データ】
平均残業時間：24h / 有給休暇消化率：70% | 激務度：54
【評判】
残業時間は全社的に管理されており、店舗での長時間労働は避けられる傾向にあります。ただし、業務量が多いことから、効率が求められるという声もあります。有給休暇は、制度としては整っており、比較的取得しやすい環境です。
【まとめ】
ローコスト経営を徹底しつつも、労働環境の管理にも注力し、一定のワークライフバランスを確保している企業と評価できます。
株式会社ツルハホールディングス
【概要】
イオングループと連携する形で、業界トップクラスの店舗数を誇る大手チェーンです。北日本を地盤に全国展開しています。
【データ】
平均残業時間：26h / 有休消化率：65% | 激務度：61
【評判】
大規模チェーンとして、コンプライアンス意識は高いですが、店舗数が多い分、地域や店舗によって残業時間に差が出る傾向があります。有給休暇は、全社的に取得が推奨されていますが、人手不足の店舗では調整が難しいという声も見られます。
【まとめ】
業界最大手としての安定感はあるものの、現場の業務負荷のコントロールには引き続き課題が残る企業と言えるでしょう。
株式会社コスモス薬品
【概要】
九州を地盤に全国へ急拡大中のドラッグストアチェーンです。食品や日用品を安価で提供する「小商圏ドミナント」戦略が特徴です。
【データ】
平均残業時間：28h / 有休消化率：60% | 激務度：68
【評判】
急成長企業であるため、業務量が多いという意見が見られますが、残業時間は全社的に厳しく管理されています。有給休暇は、制度としては整っていますが、業務量の多さから消化率は平均的です。
【まとめ】
成長企業としての活気がある一方で、ワークライフバランスの確保は個人の効率的な働き方に依存する部分が大きい企業です。
株式会社カワチ薬品
【概要】
北関東・東北を中心に店舗を展開する大型郊外型ドラッグストアチェーンです。日用品や食品の取り扱いが豊富です。
【データ】
平均残業時間：30h / 有休消化率：55% | 激務度：75
【評判】
地域密着型企業として、比較的落ち着いた社風があります。残業時間は、店舗の繁忙期には増えますが、全社平均は業界内で中程度です。有給休暇は、店舗のシフト調整次第で取得可能ですが、消化率は低めの傾向です。
【まとめ】
地域に根差した安定経営ではあるものの、労働環境の改善には更なる努力が求められる企業と言えるでしょう。
株式会社富士薬品
【概要】
配置薬事業を基盤に、ドラッグストア「セイムス」などを全国展開しています。調剤事業にも力を入れています。
【データ】
平均残業時間：32h / 有休消化率：50% | 激務度：82
【評判】
ドラッグストア業界の中では、残業時間がやや高めの水準にあります。有給休暇は、制度としては整っていますが、業務量の多さから消化率は平均的です。
【まとめ】
配置薬という独自の基盤を持つ一方で、店舗部門の労働負荷は平均的な水準にある企業です。
株式会社クリエイトエス・ディー
【概要】
関東・東海地域を中心に店舗を展開するドラッグストアチェーンです。調剤薬局併設や介護事業など、多角的に事業を展開しています。
【データ】
平均残業時間：35h / 有休消化率：45% | 激務度：90
【評判】
残業時間は、店舗の業務負荷に依存しますが、全社平均は高めの傾向です。有給休暇は、取得の制度はありますが、消化率は低めです。
【まとめ】
事業の多角化を進める一方で、店舗での人員配置や業務効率化には課題が残る企業と言えるでしょう。
株式会社アインホールディングス（ドラッグ事業部）
【概要】
調剤薬局を主軸とする企業ですが、ドラッグストア「アインズ＆トルペ」なども展開しています。
【データ】
平均残業時間：38h / 有休消化率：40% | 激務度：98
【評判】
ドラッグストア部門は、特に都市部の店舗では、店舗運営や接客での残業が発生しやすいです。有給休暇は、業務調整が難しいという声が見られ、消化率は低めの水準にあります。
【まとめ】
調剤薬局事業の安定性はあるものの、ドラッグストア部門では労働負荷が高くなりがちな企業です。
株式会社トモズ
【概要】
住友商事グループの一員であり、都心部に店舗展開するドラッグストアチェーンです。
【データ】
平均残業時間：40h / 有休消化率：35% | 激務度：105
【評判】
都市型店舗が多く、客数が多いため、残業時間は高めの傾向にあります。有給休暇は、取得の制度はありますが、業務負荷の高さから消化率は低いという意見が見られます。
【まとめ】
大手商社グループの傘下でありながら、都心型店舗特有の業務負荷の高さがホワイト化を難しくしている状況にあると言えます。
株式会社セガミメディクス
【概要】
ドラッグストアと調剤薬局を併設した店舗を西日本を中心に展開しています。ココカラファイングループの一員です。
【データ】
平均残業時間：42h / 有休消化率：30% | 激務度：112
【評判】
残業時間は高めの水準にあり、店舗での業務負荷が高いとの意見が多く見られます。有給休暇の消化率も低く、ワークライフバランスの確保は難しいという声があります。
【まとめ】
地域に根差した店舗展開を行う一方で、労働環境の改善が強く求められる企業と言えるでしょう。
株式会社くすりのアオキ
【概要】
北陸地方を地盤に全国展開しているドラッグストアチェーンです。ディスカウント志向の店舗運営が特徴です。
【データ】
平均残業時間：45h / 有休消化率：25% | 激務度：120
【評判】
積極的な出店と低価格戦略から、店舗での業務量が多く、残業時間は非常に高い水準にあります。有給休暇の消化率も低く、激務度が高いです。
【まとめ】
成長著しい企業である一方で、店舗運営の効率化と労働負荷の軽減が急務となっている企業です。
株式会社レデイ薬局
【概要】
四国・中国地方を地盤に店舗を展開するドラッグストアチェーンです。ツルハホールディングスグループの一員です。
【データ】
平均残業時間：48h / 有休消化率：20% | 激務度：128
【評判】
地域密着型の店舗運営を行う中で、残業時間は非常に高く、人手不足が指摘されています。有給休暇の消化率も低く、ワークライフバランスの確保は難しいという意見が見られます。
【まとめ】
地域での貢献度が高い一方、現場の労働環境には厳しい声が集中している状況にあると言えます。
株式会社クスリのアベニュー
【概要】
ドラッグストアおよび調剤薬局の運営を行う企業です。
【データ】
平均残業時間：50h / 有休消化率：15% | 激務度：135
【評判】
残業時間が極めて高い水準にあり、有給休暇の消化率も非常に低いです。ワークライフバランスの確保は非常に難しいという意見が多いです。
【まとめ】
事業の成長が見られる一方で、従業員の労働環境については重大な改善が必要な企業と評価できます。
ドラッグストアで本当にホワイトな企業をさがすには入念な調査が必要！
上記のランキングと個別紹介から、ドラッグストア業界にも残業が少なく、有休が取りやすい「ホワイト企業」が存在することは確認できました。しかし、ランキング上位の企業であっても、「店舗」という特性上、配属先によって業務負荷が大きく異なるのがこの業界の宿命です。
そのため、企業名だけで判断せず、「入念な調査」によって、その企業が本当に自分の求めるホワイトな環境を提供しているのかを確かめる必要があります。特に、ランキング上位の企業は「本部機能や薬剤師部門のデータが良好」なケースが多いため、一般社員や店舗運営職として働く場合の残業実態や、店舗ごとの人員配置状況を深く掘り下げて確認することが不可欠です。
ホワイト企業か判断する方法１：関係者に聞く
企業の働き方の実態を知る上で、最も確実で具体的な情報を得られるのが、「関係者に直接話を聞くこと」です。ドラッグストア業界では、店舗の店長やエリアマネージャーの裁量、人員配置によって、個人の激務度が劇的に変わります。
特に意識して確認すべきは、「店舗運営職の平均的な営業時間外労働」と「有給消化時の代替要員確保の難易度」です。単に「残業は少ない」と聞くだけでなく、「レジ締めや品出し後の作業にどれくらいの時間がかかるか」「急な欠勤時に他の社員がフォローできる体制があるか」といった、具体的な現場の運用実態を質問することが重要です。OB・OG訪問サービスや、後述する転職エージェントの担当者が持つ「非公開の店舗ごとの人員情報」を活用することが有効です。
ホワイト企業か判断する方法２：全ての口コミサイトを入念にチェック
ドラッグストア業界では、口コミサイトの情報を鵜呑みにせず、複数のサイトで比較検討することが非常に重要です。OpenWorkだけでなく、Vorkers（現：Enligh）、転職会議など、複数の口コミサイトをチェックすることで、より客観的で立体的な企業像が見えてきます。
口コミをチェックする際は、特に「地域」と「職種」を絞り込んで比較することが重要です。例えば、「〇〇地方の調剤薬局併設店は人手が足りているが、△△地方のディスカウント型店舗は常に激務」といった地域差が明確に現れることがあります。また、「店舗スタッフ」と「本部スタッフ・薬剤師」の口コミを分けて確認し、自分の希望する職種での働きやすさがどう評価されているかを確認しましょう。
転職エージェントをフル活用する
ドラッグストア業界への転職活動において、転職エージェントは「店舗ガチャ」のリスクを最小限に抑えるための強力なパートナーです。エージェントは、企業の人事担当者と直接やり取りしているため、求人票には書かれていない「直近の人員補充計画」「新規出店の有無（激務化の可能性）」「平均的な店舗人員構成」といった、入社後の環境を左右する重要な非公開情報を持っています。
エージェントに対しては、「ホワイト企業を紹介してほしい」と伝えるだけでなく、「人員配置に余裕があり、有給消化率の高い店舗に配属される可能性」を具体的に確認することが重要です。さらに、「もし配属先で残業が過多になった場合、本部に相談できるルートがあるか」といった、入社後のリスク対応に関する質問も明確にしておくことで、その企業のサポート体制を測ることができます。
ドラッグストア業界に特有な「店舗運営形態」による激務度の差を把握する
ドラッグストア業界の激務度は、その企業の採用している「店舗運営形態」に大きく左右されます。転職を成功させるには、希望企業の主な店舗形態がどうなっているのかを把握することが重要です。
調剤薬局併設型や小型店舗は、一般的に残業時間が抑えられやすい傾向にあります。逆に、ディスカウント志向の大型店舗は、残業時間や有給消化率が悪化しやすい傾向があるため、企業の主な店舗形態を事前に把握し、自分が避けたい形態を避けるようにしましょう。
ホワイト企業への転職を成功させるには、今回算出したような客観的なデータ（残業時間・有休消化率）と、店舗運営の実態や配属リスクといった業界特有の体感の両面から判断することが極めて重要です。複数の情報を照らし合わせ、あなた自身のキャリアプランに合致した、最適な一社を見つけてください。
